なぜ適格退職年金は廃止となったのか
・積立金不足の深刻化による受給権保護
適格退職年金制度の開始された昭和37年頃からバブル期までは、日本経済は成長期にあり資金の運用も順調に行なわれ、制度の基本運営予定利率「5.5%」は、企業にとって大きな問題とはならなかった。
しかし、バブル経済の崩壊と共に予定運用利率の確保は困難な状況になりはじめた。
これにより企業は、予定運用を下回った額の補填を本業の利益から繰り入れることを余儀なくされる。
利益が出ている企業においては、繰り入れを行なうことにより本業の収益が大きく圧迫されることとなり、利益が出ていない企業においては、繰り入れを行なうことができずに積み立て不足が累積されるという、負のスパイラルに陥っていくこととなった。
加えて、制度上巨額の積み立て不足が発生した際の強制解消方法が無かった。
この状況を放置すると、従業員の受給権は保護されなくなり、労働者保護の観点から大きな問題が発生することは裂けられない状況になってきた。
そこで国は、より厳しい運用規定を定めた「確定給府企業年金法」を制定し、制度上不完全な部分が多い適格年金制度の廃止を決定し、移行期間を平成24年3月と定めて、制度の事実上の廃止を決定した。